ジュゼッペ・アンダローロさんが練習しに来てくれました。
24.10.11INFORMATION
24.10.11INFORMATION
1982年イタリア・パレルモ生まれ。世界を舞台に活躍する同世代を代表するピアニストのひとり。
ザルツブルク音楽祭、スポレートの2つの世界フェスティバル、香港ショパンフェスティバル、ブレッシャ・ベルガモのアルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ国際ピアノフェスティバルなど重要な音楽祭に招聘される。また、ミラノ・スカラ座、ナポリのサン・カルロ劇場、ザルツブルクのモーツァルテウム大ホール、ウィーン楽友協会、ロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホールやクイーン・エリザベス・ホール、カザルスホールなど、世界各地の主要なホールで演奏を重ね、ロンドンフィルハーモニー管弦楽団、NHK交響楽団、ローマ・サンタ・チェチーリア国立管弦楽団、ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団など国際的に著名なオーケストラと共演している。レパートリーはイタリアのルネサンス音楽から現代曲までと幅広い。
ロンドン国際ピアノコンクール、第1回仙台国際音楽コンクール、香港国際ピアノコンクール、ブゾーニ国際コンクールなど多くのコンクールで優勝。2005年イタリア文化省芸術勲章を受章。ワーナー・クラシックス、ナクソス、フォンテックなどのレーベルからCDを数多くリリース。2023年には故郷シチリア交響楽団との共演によるリスト作曲ピアノ協奏曲第1番、死の舞踏が発売された。また、イタリアをはじめ日本、イギリス、アルゼンチン、南アフリカ、アメリカ、ポルトガルなどのラジオ・テレビ番組にも出演するなど、活躍の幅を広げている。現在は、演奏活動のほかに仙台国際音楽コンクールほか国際ピアノコンクールで審査委員や、イタリアや日本、タイ、マレーシアなどでマスタークラス講師を務めるなど、後進の指導にもあたっている。
今回は、仙台フィルハーモニー管弦楽団とラヴェルのピアノ協奏曲の共演およびソロリサイタルのため来日中のオフ日に、当スタジオに足を運んでくださいました。アンダローロさんが当スタジオのFAZIOLIに触れると、その表現の可能性に魅了された様子で、「インスピレーションがどんどん湧いてくる」と、とても喜ばれていました。最初はピアノの個性を把握するため、タッチや音色、ダイナミックレンジ、ペダリングなど、さまざまなアプローチで試し弾きをされていましたが、次第に1曲の断片を自由に演奏されていて、私もその贅沢な演奏を横でずっと堪能していました。
アンダローロさんはクラシックだけでなく、ジャズ的な要素をとりいれたカプースチンやフリードリヒ・グルダの作品、キース・ジャレットのライブ公演の即興的再現、さらにはQUEENやKing Crimsonといったハードロックやプログレッシブロックの曲を自ら編曲し、レパートリーに加えているそうです。この日はオフということもあり、これらのクラシックから離れたジャンルの作品、編曲作品の演奏をたくさん聴かせてくださいました。私自身もクラシックのオーケストラ作品やゲーム音楽をピアノ独奏用に編曲して演奏することが多いのですが、アンダローロさんの編曲は、1台のピアノで表現しているとは思えないほど多声的で、音色のバリエーションも豊かです。加えて、ロックのエネルギーを感じさせるほどの迫力あるサウンドに、ただただ圧倒されるばかりでした。
練習の合間に、「編曲はご自身でされているのですか?」と尋ねると、「編曲は私の頭の中で完成しています」との答えをいただきました。さらに、今回のようにピアノから素晴らしいインスピレーションを受けると、それをもとに即興で演奏を変えることもあると語っておられ、その自由な音楽性には驚かされました。アンダローロさんにサインをお願いした際、当日の感想についてもコメントをいただきましたので、ぜひ当ホームページの「VIRTUOSO VOICES」をご覧ください。 担当/太泉